約 1,100,820 件
https://w.atwiki.jp/gods/pages/25975.html
ドンルイズ(ドン・ルイズ) アフリカ系ブラジル人のカルト、バトゥーキの精霊。 処刑されたフランス国王ルイ16世の霊から生まれた精霊とされる。 霊媒師ドナマリアジアグイアル(ドナ・マリア・ジ・アグイアル)が初めて交信した。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2637.html
前ページ次ページゼロの花嫁 瀬戸を離れて夕波小波 人魚呼び出すゼロのルイズ 義理を立てりゃ、道理が引っ込む 笑ってやって下せぇ 苦い不幸の始まりでございます ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは追い詰められていた。 使い魔を呼び出すサモンサーヴァントの儀式。 これに成功しなければ彼女は進級出来ないのだ。 仮にもヴァリエール家の人間が落第するなどという事があってはならない。 正に祈るような気持ちで呪文を唱えた。 呪文は完璧、失敗による爆発も起きない。 ゲートは召喚された、ここまでは問題無い。 ぼて。びちびちびちびち。 楕円状のゲートから何かが落っこちてきた。 最初に目に入ったのは見事なその尻尾、鱗に覆われたそれは魚の尻尾と思われる。 しかし、その上半身は美しい少女の姿をしていた。 「これ……もしかして……人魚?」 以前読んだ伝承に、確か人魚の記述があった。だが、あれは作り話ではなかったか? 呆気に取られるルイズ、それは隣で見ていたコルベール先生も同様で、二人はその美しい人魚の姿に見入っていた。 人魚は、最初周囲を探るように見渡す。 すぐにルイズとコルベールに気付き、数秒の間の後、物凄い勢いで騒ぎ出した。 それは、遠くからこちらを囲むようにしてみているほかの生徒を見て、更に激しくなった気がする。 話す内容は支離滅裂で何を言っているのか良くわからなかったが、最後に叫んだ声だけはルイズにも聞き取れた。 「人魚エンシェントリリック! 眠りの詩!」 ラァリホエ~~~~~~♪ そしてみんな意識を失った。 最初に意識を取り戻したのはルイズだった。 「む~、頭痛い……」 「大丈夫?」 そう問いかけてきた声に聞き覚えが無かったので、ルイズはちらりとそちらを見る。 腰まで伸ばした後髪、年は十四、五ぐらいであろうか。 清楚な佇まいを持つ、美しい少女であった。 「あなたは?」 「瀬戸燦言います。よろしゅう」 そう言ってにぱっと笑う彼女は、本当に美しいと思えた。 何故か赤面してしまうルイズだったが、首を横に振って意識をはっきりさせる。 「そ、そう、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「ルイージマリオズッケェロ? 首だけになって拷問とかされてそな名前やね」 「何処のマフィアよそれ!? ルイズよルイズ!」 勢いでそうルイズがつっこむと、燦はまた笑った。 「そか、ルイズちゃんか。私も燦でええで」 再度赤面するルイズ。 これが、二人の出会いであった。 ようやく起きたコルベールを交えてお互いの状況を確認するルイズと燦。 他の生徒は既に教室へと戻っている。 その際、彼らが空を飛ぶのを見て燦はえらく驚いていた。 「サンは魔法を知らないの?」 「そないに当然な顔して言われても……大体ここ何処なん?」 「トリステイン魔法学園」 「……瀬戸内魔法学園に変えん? それなら少しは親しみのある名前になりそーやし」 「いや歴史有る魔法学園の名前をそんな理由で変えられても」 二人のやりとりに、コルベールがわざとらしく咳をしてルイズを促す。 ルイズは助けを求めるようにコルベールに問う。 「あ、あのーコルベール先生。流石に平民の使い魔は……」 「駄目です、ミスヴァリエール。使い魔召喚の儀式はそうほいほいとやりなおせる類の事ではありません」 がっくりと項垂れるルイズ。 燦は不思議そうにルイズに聞いた。 「なあなあ、それ何なん?」 「使い魔よ使い魔。あなたは私の使い魔として召喚されたの」 「ようわからんけど、私そろそろ家に戻らんとお父ちゃんに怒られるねん」 そこでルイズは初めて気付いた。 そう、平民、人間を使い魔にするという事は、その人間を家族から引き離すという事なのだ。 今度はさっきよりも強い口調でコルベールに言う。 「ミスタコルベール、彼女には家族も居ます。それを無理矢理使い魔にするのはいくらなんでも非道がすぎるのでは?」 ルイズは、もちろん燦の事も心配しているが、これでうまい事再挑戦をさせてもらおうという計算があったのも事実である。 コルベールも少し悩んでいるようだ。 「それはそうだが……いや、前例も無い事だしやり直しは認められない。その場合はミスヴァリエールは留年という事になる」 留年、という言葉にルイズは身を硬くする。 が、それ以上に燦がその言葉に大きく反応した。 「ちょっと待ってや! 留年て何なん? ルイズちゃん留年してしまうん?」 返答に困ってコルベールはルイズを見る。 ルイズは俯いて肩を震わせている。 燦はルイズの肩を掴む。 「なあ、ルイズちゃん。留年て本当なん?」 それが引き金であった。 激昂して燦を怒鳴りつけるルイズ。 「そうよ! あんたみたいな平民が召喚されたせいで私は留年するかもしれないのよ!」 燦は青い顔をしてコルベールに確認する。 「そうなん? なんとかならへんの?」 コルベールも心苦しそうだ。 「ああ、ミスヴァリエールが誰よりも努力している事は私も良く知っている。出来る事ならなんとかしてやりたいが、使い魔との契約が出来ないのであれば留年扱いとなる……」 コルベールの言葉に燦はコルベールの腕の裾を掴む。 「そしたら、私はルイズちゃんに召喚とかいうのされたんやろ? なら私がルイズちゃんの使い魔になれば留年しないで済むん?」 「そ、それはそうだが……」 燦は力強く頷く。 「じゃったら私がルイズちゃんの使い魔なる!」 ルイズは燦とコルベールとのやりとりを黙ってみていたが、そう言う燦の言葉に首を横に振る。 「私の使い魔になるって事は、ご両親とも会えなくなるって事よ?」 燦はわかっているのかいないのか、拳を握って答えた。 「お父ちゃんもお母ちゃんもきっとわかってくれる! それに、困ってる人を見捨てたりするんわ瀬戸内人魚の名折れじゃ!」 何故か燦の背後で津波が岸壁へと叩きつけられ、白い波頭が舞い上がる。 「任侠と書いて人魚と読むきん!」 燦のあまりの迫力に気圧されるルイズとコルベール。 ふと、ルイズは気になった事を口にした。 「そういえば、貴女さっき足が魚じゃ……」 突然燦が慌てだす。 「そ、それは夢じゃ! そんな白昼夢私知らん!」 「そう、人魚よ。自分でも今咆えてたし……」 「それはドリームじゃ! そんなデイドリーム私知らん! そそそ、それよりルイズちゃん! はよその契約せんと!」 大慌ての燦はとても怪しかったが、契約を早く済ませた方がいいのは確かである。 「そ、そうね。でも、本当にいいの?」 「もちろんじゃ! 瀬戸内人魚に二言は無いきに!」 「……人魚?」 「ル、ルイズちゃん! はよー契約や契約!」 「わ、わかったわ」 深呼吸一つ、ルイズは意を決して燦の両肩に手を乗せる。 「ちょっと、かがんで……そう、それで、目をつぶって」 「わかった。どんと来てや」 言われるままに目を閉じる燦に、ルイズは呪文と共に口づけを交わす。 ルイズが口を離し、そっと目を開くと燦は驚いたのか目を大きく見開いてこちらを見ている。 何か言いたいようだが、言葉にならないようだ。 その様子に、ルイズの頬も紅潮する。 「こ、これは契約なの。だから回数には含まれないんだからね。わかった……」 みなまで言わせず、燦はその特技である『ハウリングボイス』を放っていた。 ルイズが目を覚ましたのは医務室のベッドの上であった。 目を覚ますなり、隣で寝ていた燦が飛びついてくる。 「ごめんな~ルイズちゃん、本当にごめんな~。ウチ驚いてしもてつい……」 びーびー泣きながらそう言う燦を宥めつつ、自分の身に降りかかった出来事を思い出す。 「あー、何かこー謎の衝撃波によって全身裂傷、耳血を大量に噴出し、血だるまになってた記憶が……」 「堪忍や~、堪忍してつか~さい~」 どうやらアレはやっぱり燦の仕業らしい。 「何はさておき、事情の説明をしなさい。一体アレは何?」 燦は、頭をかきながらこう答えた。 「いや~、私昔から声大きゅうてな~」 「人一人ぼろ雑巾にするぐらいの大声って何よ!?」 至極真っ当なルイズのつっこみに燦は脂汗を流す。 「そ、それは……」 ルイズから顔を逸らす燦。 「それは?」 「ま、魔法じゃ……こう、杖振ったり箒に乗ったりするはりーぽったー的な……」 「魔法!? でも呪文も唱えてなかったわよ!」 「そ、それは……その……そういう特別な魔法なんよ」 そこまで言って、自分の無茶言い訳さかげんに更に脂汗が流れる。 しかし燦の言葉にルイズは飛び上がって喜んだ。 「凄い! 凄いわサン! それってもしかして先住魔法!?」 『うっわ、めちゃめちゃ信じとる!?』 今更引っ込みはつかない、無理矢理話を合わせる燦。 「そ、それ、その長寿魔法言うやつ。長生き出来るんや、きっと」 ルイズはベッドから飛び降りて燦の手を取る。 「やったわ! これでみんなを見返してやれる! 私だってやれば……やれば出来るんだからっ!」 感極まって涙目になるルイズ。最早修正は不可能と思われる。 物凄く心苦しい燦をさておいて、一人テンションを上げるルイズ。 そこにノックの音と共にコルベールが入ってくる。 「おお、起きたかねミスヴァリエール」 コルベールの顔を見るなり、ルイズは嬉々としてこの事を報告する。 「聞いてくださいミスタコルベール! サンは先住魔法の使い手なんです! この間私を吹っ飛ばしたアレも魔法なんですって!」 その言葉に驚くコルベール。 「なんと!? 確かにアレには呪文の詠唱も無かった。だとすればミスヴァリエール、君の努力が遂に実ったという事か! 素晴らしい! 私も心から祝福させてもらうよ!」 「ありがとうございます、ミスタコルベール……これで、もう誰にもゼロだなんて呼ばせない……うぅっ」 「良く頑張った、君は良く頑張ったよ」 医務室で感涙にむせぶルイズとコルベール。 ちなみに燦は、二人が何か言う度に心に鋭い何かが突き刺さるような衝撃を受け続けていた。 この空気に耐えられそうに無い燦は話題をそらしにかかる。 「それはそれとして……なあルイズちゃん、使い魔って何するもんなん?」 まだ半泣きであったルイズだが、燦の問いかけに少し首をかしげる。 「そうね……とりあえず、燦は炊事洗濯掃除とかは出来る?」 「もちろん、得意分野じゃ」 「んじゃ後は、私を守るんだけど、それもサンの先住魔法なら大丈夫よね! ねえ、他にはどんな事出来るの?」 そう問われた燦の動きが止まる。 『他のて、後は歌とか……イカン、眠りの詩教えたら人魚姿誤魔化したのがバレる。詩系はダメとなると……後は……』 ぽんと手を叩く燦。 「そしたらルイズちゃんヤッパ持ってへん? 出来れば長ドスがええんじゃけど」 二人には全然理解出来ない単語である。 「何それ?」 「えっと、刃物や。それも1メートルぐらいの長い奴がええ」 「剣の事? もしかして剣使えるの?」 「うん、私それ得意なんよ」 少し期待外れの答えであったルイズ。燦の体格では武器を使えたとしても、さほどの強さは期待出来ないであろう。 「魔法は他には無いの?」 「ごめんな、私まだ子供やからハウリングボイスだけなんじゃ」 残念ではあるが、それでもあのハウリングボイスの威力は身をもって知っている。あれだけでも十二分である。 「構わないわよ。それじゃあ、そろそろ部屋に行きましょうか」 そう言って燦の手を取るルイズ。 だが、それをコルベールが止めた。 「ミスヴァリエール、実は君に話さなければならない事がある」 ルイズが振り返ってコルベールを見ると、コルベールは眉間に皺を寄せていた。 あまり良い話ではなさそうだと思ったルイズは少し身構える。 「なんでしょう、ミスタコルベール」 コルベールはルイズから目線を逸らし、僅かな躊躇の後、思い出したように陽気に言った。 「そうだ、君の治療の件があった。今回の件は授業中の事故という扱いにしておいたから、治療にかかった水の秘薬は経費で落ちたよ」 すっかり忘れていたが、治療もタダではないのである。 気を失う最後の瞬間、自分が全身血まみれになっていた記憶がある。 今は何処も痛くない事を考えるに、治療するのにはかなりの量の水の秘薬を必要としたであろう。 「助かります。結構かかりましたか?」 あらぬ方を見ながら指折り数えるコルベール。 「そうだね、全身36箇所の裂傷と耳からの大量出血。特に裂傷はどれも放っておいたら傷が残るようなものばかりだったから、通常の治療の倍の秘薬が必要だった」 改めて聞かされて冷や汗をかくルイズ。 「……結構、危険だったんですね」 「ああ。でも傷を残すなというのは学院長の指示でもあるし、君は気にしなくていいよ。確かにあれは事故だったんだから」 「本当にありがとうございます。サン、今後は気をつけてよね」 「大丈夫! もー二度とせん!」 「よろしい」 ルイズは深く頷いた後、コルベールに向き直る。 「では先生、失礼します」 そう言って二人は医務室を出ていった。 残されたコルベールは笑顔でそれを見送った後、その場にひざまずく。 「先住魔法……アカデミーにバレたらまずいですよね……しかし、ああも嬉しそうにされると……言い出しずらいです、はい」 この事は明日一番に伝えよう、それまでにサンの手に浮き出た紋章も調べておこうと心に決めたコルベールであった。 二人はルイズの部屋に入る。 ぼろぼろに引きちぎれた制服の代わりに医務室備え付けの寝巻きを着ていたルイズはさっそく服を変えようと燦に命ずる。 「サン、着替えるから下着と寝巻き取ってちょうだい」 「ん、わかった」 燦ががさごそと服を漁っている間にルイズはさっさと服を脱ぐ。 すぐに寝巻きと下着を見つけ、それを手に振り返る燦。 「ルイズちゃん、これでええん……っっ!!!!」 ルイズの姿を見た燦はその場に硬直する。 ルイズは下着も脱ぎ、一糸纏わぬ姿であった。 「そうそう、それよそれ。早く着させてちょうだい」 燦はそんなルイズの姿を指差し震えている。 「る、ルイズちゃん……やっぱり女好き好きアマゾネス……」 明らかにおかしい燦の様子に、ルイズは数歩歩み寄る。 「どうしたのよ?」 「イヤーーーーーーー!!」 悲鳴と共に放たれたハウリングボイスは、ルイズを紙くずのように吹き飛ばし、壁面へと叩きつける。 再び刻まれる全身への裂傷、そして壁面に叩きつけられた事による打撲、ほとばしる耳血。 「……二度と、何だって?」 辛うじて残った意識のままそんな事を呟くルイズ。 燦は大慌てでルイズへと駆け寄ってくる。 「ご、ごめんルイズちゃん! 大丈夫か!?」 「……無茶言わないでよ……」 「しっかり! しっかりしてルイズちゃん! 一緒に瀬戸の海を見ようって約束したじゃろ!」 「……してないし……」 「嘘じゃ……こんなん嘘じゃルイズちゃん……嘘じゃーーーーー!!」 「……そりゃ、嘘にしたいでしょうけどね、アンタは……」 「誰か! 誰かおらんの! 衛生兵! 早く来てくれんとルイズちゃんが……ルイズちゃんが死んでしまうっ!!」 「……誰かじゃなくて、アンタが助け呼んで来なさいよ。いや、ワリと本気で……」 「誰か助けて! ルイズちゃんを! ルイズちゃんを助けてーーーー!!」 「……お願い、悲鳴はいいから、早く医務室に……」 結局、たまたまルイズの部屋に来ようとしていたキュルケがこの悲鳴を聞きつけ、医務室へと連絡する。 すぐさま駆けつけた医療スタッフにより、タイヤの付いたベッドに乗せられたルイズ。 「患者は!?」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、上から76、53、75、系統ロリツンデレ、裂傷多数、大量の耳血に全裸です」 「出血がひどい、水の秘薬をありったけ持って来い!」 何やら騒がしい医療スタッフと、それに突き従うように後を追う燦とキュルケ。 「ルイズちゃん! しっかり! 今お医者さんが助けてくれるき!」 「……全裸で血だるまって、一体何したのルイズは?」 ベッドに横になった事で安心したのか、ルイズは静かに目を閉じる。 同時にルイズの全身がびくんびくんと跳ね出した。 「くそっ! 痙攣だ! 手術室へ急げ!」 「ルイズちゃん! ルイズちゃん!」 いきなりのルイズの変貌に真っ青になってルイズにすがりつこうとする燦。 それを医療スタッフが遮る。 「邪魔をするな! テンブレードと……」 突き飛ばされ、その場に座り込む燦。 移動ベッドと医療スタッフはそのまま正面の扉を開き、手術室へと消えていく。 扉が閉まると同時に輝く手術中のランプ。 燦はその扉にすがるように張り付く。 「お願いじゃ! ルイズちゃんを助けてあげて! ルイズちゃんを……ルイズちゃんを……」 そのまま泣き崩れる燦。 キュルケはそんなルイズの肩に手を置く。 「後は医療スタッフに任せましょう。ほら、そこのイスにかけて」 しばらくの間、泣いている燦を宥めるキュルケ。 そして落ち着いた頃を見計らって事情を尋ねた。 「一体何があったの?」 「ひっく……ルイズちゃんが女好き好きアマゾネスなんにびっくりして、つい……ぐすっ……」 「わかったわ、もう少し落ち着いてからにしましょう」 早々に事情を聞くのは諦めるキュルケ。 そこに話を聞いたコルベールが駆けてきた。 「ミスツェルプストー! ミスヴァリエールが大怪我を負ったと聞きましたが!」 「はい、今手術中です」 「何故そんな事に、怪我はどんな感じです?」 「全身に裂傷、後耳血ですわ」 それだけで状況を察するコルベール。 「……サンさん、どういう事ですか?」 燦はまだしゃくりあげながらだが、すぐに答える。 「やきに、ルイズちゃんが女好き好きアマゾネスやったんよ。私、それに驚いてしもて、つい勢いでハウリングボイスを……」 ため息をつきながらコルベールはキュルケの方を向いて問う。 「ミスツェルプストー、貴女はそんな話を聞いた事がありますか?」 「……今のでわかったんだコルベール先生は。申し訳ありませんけど、この子が何を言ってるのか私にはさっぱりです」 「ですから、ミスヴァリエールに女性を愛好する性癖があったのかと」 「あるわけありませんわ。ルイズの部屋に誰か女の子が出入りしているというのは聞いた事がありませんもの。そもそも、プライドの塊みたいなヴァリエールがそんな真似するとは思えませんわ」 「なるほど、確かにそうかもしれないな。なら詳しい事はミスヴァリエールが意識を取り戻してからだな」 不意に手術室から怒鳴り声が聞こえてくる。 どうやら手術室では何らかの展開があった模様。 「ドクター! あなた一体何処触ろうとしてるんですか!?」 「ええい離せ! 漢には人間失格とわかっていてもやらなければならん事があるのだ!」 「うおっ!? ブレード挿した状態からそんなに動いたら……ぎゃー! 傷口がー! 止血を! 止血剤を!」 「かくなる上は止む終えまい。三年生にも協力を要請する。水魔法が得意な生徒へ伝えてくれ。ロマンが君達を待っている、魂に賭けて誓おう! お触り自由であると!」 ドガン! 「水系統の三年女子に限定します。よろしいですね」 「イエスマム!」 手術室の扉が開き助手の一人が出てくると、中の様子が見える。 一人の男性医師が頭部から間欠泉の様に血を噴出して倒れ、その他の医師達は黙々と治療に専念している。 医療スタッフの配慮か、どうやら女性スタッフのみでの手術になっている模様。 「峠は越したみたいですわね。ルイズ、貴女の純潔と誇りは守られそうよ」 「それは何より」 冷静にそう呟くキュルケと、あの医師はオスマン菌にでも冒されたかなどと考えながらそっぽを向いている律儀なコルベールであった。 前ページ次ページゼロの花嫁
https://w.atwiki.jp/dqm-m/pages/34.html
トップページ 初期モンスター・オススメ配合〜 スライム・ももんじゃ スライム(初期)*ドラゴン系=ドラゴスライム 鳥系*ドラゴスライム=ひくいどり 悪魔系*ももんじゃ(初期)=シルバーデビル ドラゴンキッズ・ピッキー ドラゴンキッズ(初期)*ピッキー(初期)=キメラ(序盤の主力) or ドラゴンキッズ(初期)*シルバーデビル(4日2000G)=バトルレックス ピッキー(初期)*ドラゴスライム(3日1000G)=ひくいどり ゴースト・ベビーサタン 物質系*ゴースト(初期)=さまようよろい(序盤ダンジョンで主力) ゾンビ系*ベビーサタン(初期)=しりょうのきし(旅人の知恵で経験値2倍) 獣系*ベビーサタン(初期)=グリズリー マミー(6日500G)* グリズリー or さまようよろい= がいこつけんし(りゅうおうの材料に) さまようよろい * グリズリー = キラーマシン 序盤高くて市場で買い辛いモンスター よるのていおう 0日2000G ?アントベア(5日500G)*鳥系=アロードッグ ?アロードッグ*ドラキー(8日250G)=よるのていおう シルバーデビル 4日2000G ?スカルライダー(9日1000G)*ドラゴンキッズ(5日250G)=シルバーデビル ひくいどり 4時10000G ?鳥系*ドラゴスライム(3日1000G)=ひくいどり ひょうがまじん 7時10000G ?ぶちキング*バトルレックス=キングスライム ?キラーマシン or メタルドラゴン*キングスライム=ひょうがまじん グレイトドラゴン 8時10000G ?ドラゴンキッズ(5日250G)*ぶちキング or サンダーバード=グレイトドラゴン (上記のモンスターの販売価格が高いと思われる方は、このようにして節約してください) 上級モンスターとその材料 ぶちキング 用途...メタルキング・グレイトドラゴン・アークデーモン作成 ?ぶちスライム(0日250G)*2=ぶちキング メタルキング 用途...ゴールデンスライム・ダークマター・ハーゴン作成 チケ節約 ?はぐれメタル(0時10000G)*はぐれメタル=メタルキング ゴールド節約 ?メタルドラゴン*ぶちキング=メタルキング ワンダーエッグ 用途...メタルスライム・はぐれメタル・メタルキング・ゴールデンスライム・グランスライム作成 ?スライム系*ゴースト(3日250G)=ホイミスライム ?ホイミスライム*ゾンビ系=ピエロスライム ?ピエロスライム*ゾンビ系=エンゼルスライム ?エンゼルスライム*ゾンビ系=ワンダーエッグ グランスライム 用途...ダークドレアム作成、一人旅要員 ?メタルキング*メタルキング or ワンダーエッグ=ゴールデンスライム ?ゴールデンスライム or ワンダーエッグ*ゴールデンスライム=グランスライム やまたのおろち 用途...ヘルゴラゴ・ようがんまじん・バラモス・ ?悪魔系*ドラゴン系=メドーサボール ?グレイトドラゴン(8時10000G)*メドーサボール=やまたのおろち バトルレックス 用途...キングスライム・ギガントドラゴン・しんりゅう作成、一人旅要員 ?ドラゴン系*シルバーデビル(4日2000G)=バトルレックス しんりゅう 用途...オリハルゴン・りゅうおう(変身)・デスピサロ作成、メタモル要員、攻撃力を活かす ?ドラゴン系*ひくいどり(4時10000G)=スカイドラゴン ?スカイドラゴン*バトルレックス=しんりゅう ダークホーン 用途...ヘルゴラゴ・タイタニス・ムドー作成 ?よるのていおう(0時2000G)*きりさきピエロ or グレンデル(3時10000G)=ダークホーン キングレオ 用途...エスターク作成 ?獣系*ドラゴンキッズ(5日250G)=アルミラージ ?アルミラージ*ドラゴンキッズ(5日250G)=キラーエイプ ?キラーエイプ*キラーエイプ=パオーム ?パオーム*パオーム=キングレオ ヘルゴラゴ 用途...エスターク作成 ?ダークホーン*やまたのおろち=ヘルゴラゴ サンダーバード 用途...グレイトドラゴン・ようがんまじん作成 ?おばけキャンドル(2日250G)orマドハンド*ドラゴスライム(3日1000G)=ギズモ ?ひくいどり(4時10000G)*ギズモ=サンダーバード マンドラゴラ 用途...イカずきん作成 ?鳥系*ピューロ=ファンキーバード ?植物系*ファンキーバード=マンドラゴラ ホーンビートル 用途...さそりアーマー作成、成長が早い上に攻撃力・守備力が高く、序盤〜中盤の宝探しの主力に ?虫系*物質系=はさみくわがた ?はさみくわがた*はさみくわがた=ホーンビートル or ?虫系*ひとつめピエロ(4日250G)=キラーシックル ?キラーシックル*キラーシックル=カマキリせんし ?カマキリせんし*悪魔系=ホーンビートル or ?虫系*きりさきピエロ=カマキリせんし ?カマキリせんし*悪魔系=ホーンビートル (1日でホーンビートル*ホーンビートル=さそりアーマーに持っていけないので、 さそりアーマーを作る時はこの3通りの方法を組み合わせて作ると吉) アークデーモン 用途...ずしおうまる・アクバー・ようがんまじん作成 ?シルバーデビル(4日2000G) or グレンデル(3時10000G)*ぶちキングorグレイトドラゴン(8時10000G)=アークデーモン ギガンテス 用途...バトルレックス・じごくのもんばん作成、攻撃力を活かす ?獣系*おおめだま(8日500G)=ビックアイ ?悪魔系*ビックアイ=ギガンテス じごくのもんばん 用途...ずしおうまる・アクバー作成 ?シルバーデビル(4日2000G)*シルバーデビル=じごくのもんばん きりさきピエロ 用途...ダークホーン・ホークブリザード・カマキリせんし作成 ?ひとつめピエロ(4日250G)*ひとつめピエロ=きりさきピエロ ずしおうまる 用途...ギガントドラゴン・ランプのまおう・デュラン作成 ?アークデーモン or オーガー or じごくのもんばん*獣系=ずしおうまる ジャミラス 用途...デュラン・シドー作成 ?鳥系*きりさきピエロ=ホークブリザード ?ひくいどり(4時10000G)*ホークブリザード=にじくじゃく ?グレンデル(3時10000G)*グレンデル=アクバー ?アクバー*にじくじゃく=ジャミラス がいこつけんし 用途...ワイトキング・しにがみきぞく・まおうのつかい作成 ?マミー(6日500G)or マッドロン *マーマン(2日1000G)=がいこつけんし しにがみきぞく 用途...ナイトリッチ作成 ?がいこつけんし*アークデーモン or じごくのもんばん or バルザック or メタルドラゴン=しにがみきぞく ラザマナス 用途...ドーク作成 ?ワイトキング*ハーゴン=ラザマナス バルザック 用途...ボストロール・しにがみきぞく・ようがんまじん作成 チケ節約 ?ひょうがまじん(7時10000G)*悪魔系=バルザック メタルドラゴン 用途...メタルスライム・はぐれメタル・メタルキング・ようがんまじん作成 チケ節約 ?物質系*グレイトドラゴン(8時10000G)=メタルドラゴン ゴールド節約 ?キラーマシン*ドラゴンキッズ(5日250G)=メタルドラゴン キラーマシン 用途...キラーマシン2作成 ?獣系*悪魔系=グリズリー ?物質系*グリズリー=キラーマシン ようがんまじん 用途...ゴールデンゴーレム作成 ?メタルドラゴン *サンダーバード or アークデーモン or バルザック=ようがんまじん ゴールデンゴーレム 用途...キングアズライル・デュラン・ダークマター作成 ?ようがんまじん*ひょうがまじん(7時10000G)=ゴールデンゴーレム ダークマター 用途...デスタムーア(最終)作成 ?ゴールデンゴーレム*メタルキング=ダークマター だいおうイカ 用途...エグラドシル作成 ?おばけヒトデ(9日500G)*獣系=オクトリーチ ?オクトリーチ*オクトリーチ=ダゴン ?ダゴン*ダゴン=だいおうイカ ???系入り口モンスター(親に???系のいらない???系) りゅうおう 用途...???系基本配合、りゅうおう(変身)・ゾーマ作成 ?がいこつけんし*がいこつけんし=まおうのつかい ?まおうのつかい*グレイトドラゴン(8時10000G)=りゅうおう ハーゴン 用途...ラザマナス・バラモス作成 ?がいこつけんし*ひくいどり(4時10000G)=ワイトキング ?ワイトキング*メタルキング=ハーゴン シドー 用途...ジェノシドー・ゾーマ作成 ?植物系*ガップリン(0日1000G)=デビルパイン ?デビルパイン*しにがみきぞく=ローズバトラー ?ジャミラス*ローズバトラー=シドー デスピサロ 用途...サイコピサロ・エスターク作成 ?ずしおうまる*ゴールデンゴーレム=デュラン ?デュラン*しんりゅう=デスピサロ その他???系 ムドー 用途...ポセイドン・デスタムーア(最終)・ドーク作成 ?ハーゴン*やまたのおろち=バラモス ?バラモス*ダークホーン=ムドー 終点モンスター ダークドレアム ?りゅうおう*シドー=ゾーマ ?ゾーマ*キングアズライル=デスタムーア ?ホーンビートル*ホーンビートル=さそりアーマー ?デスタムーア*さそりアーマー=デスタムーア(変身) ?デスタムーア(変身)*ダークマター or ムドー=デスタムーア(最終) ?デスタムーア(最終)*グランスライム=ダークドレアム オルゴ・デミーラ(変身) ?デスピサロ*キングレオ or ヘルゴラゴ=エスターク ?デスピサロ*エスターク=サイコピサロ ?しにがみきぞく*メタルキング or マンドラゴラ=ナイトリッチ ?サイコピサロ*ナイトリッチ=オルゴ・デミーラ ?グレイトドラゴン(8時10000G)*アクバー=ギガントドラゴン ?オルゴ・デミーラ*ギガントドラゴン=オルゴ・デミーラ(変身) ドーク ?じんめんじゅ(2時10000G)*だいおうイカ=エグラドシル ?ムドー*エグラドシル or ラザマナス=ドーク テリー時代最強モンスターの使い道 (だいおうイカはテリーにいないけど一応) ゴールデンスライム ゴールデンスライム*ゴールデンスライム=グランスライム ワンダーエッグ*ゴールデンスライム=グランスライム ゴールデンゴーレム*ゴールデンスライム=ダークマター エスターク*ゴールデンスライム=ミルドラース しんりゅう しんりゅう*ギガントドラゴン=オリハルゴン りゅうおう*しんりゅう=りゅうおう(変身) デュラン*しんりゅう=デスピサロ キングレオ デスピサロ*キングレオ=エスターク にじくじゃく にじくじゃく*ゴールデンゴーレム=キングアズライル にじくじゃく*シドー=キングアズライル にじくじゃく*ジェノシドー=キングアズライル アクバー*にじくじゃく=ジャミラス ローズバトラー ローズバトラー*だいおうイカ=エグラドシル ローズバトラー* デスピサロ=エグラドシル ローズバトラー* サイコピサロ=エグラドシル ジャミラス*ローズバトラー=シドー さそりアーマー デスタムーア*さそりアーマー=デスタムーア(変身) デュラン デュラン*ダークホーン=タイタニス デュラン*しんりゅう=デスピサロ ワイトキング ワイトキング*ハーゴン=ラザマナス ワイトキング*メタルキング=ハーゴン だいおうイカ ローズバトラー or じんめんじゅ*だいおうイカ=エグラドシル 5つ星モンスターの使い道 グランスライム デスタムーア(最終)*グランスライム=ダークドレアム オリハルゴン りゅうおう(変身)*オリハルゴン=しん・りゅうおう ミルドラース*オリハルゴン=ミルドラース(変身) ヘルゴラゴ デスピサロ*ヘルゴラゴ=エスターク バラモス*ヘルゴラゴ=ムドー キングアズライル ゾーマ*キングアズライル=デスタムーア ミルドラース*キングアズライル=デスタムーア ミルドラース(変身)*キングアズライル=デスタムーア エグラドシル ムドー*エグラドシル=ドーク スカルスパイダー エスターク*スカルスパイダー=ミルドラース タイタニス シドー*タイタニス=ジェノシドー デスタムーア*タイタニス=デスタムーア(変身) ラザマナス ムドー*ラザマナス=ドーク ダークマター デスタムーア(変身)*ダークマター=デスタムーア(最終) ポセイドン デスタムーア(変身)*ポセイドン=デスタムーア(最終) しん・りゅうおう しんりゅう*しん・りゅうおう=オリハルゴン オルゴ・デミーラ*しん・りゅうおう=オルゴ・デミーラ(変身) ジェノシドー にじくじゃく or シャンタク*ジェノシドー=キングアズライル ミルドラース*ジェノシドー=ミルドラース(変身) ジェノシドー*カオスドレイク=ジェノダーク アスラゾーマ デスタムーア(最終)*アスラゾーマ=ダークドレアム アスラゾーマ*デモンスペーディオ=ゾーマズデビル サイコピサロ じんめんじゅ or ローズバトラー*サイコピサロ=エグドラシル ゾーマ*サイコピサロ=アスラゾーマ サイコピサロ*ナイトリッチ=オルゴ・デミーラ ミルドラース(変身) ゾーマ*ミルドラース(変身)=デスタムーア デスタムーア(最終) ゴールデンスライム*デスタムーア(最終)=グランスライム デスタムーア(最終)*グランスライム or アスラゾーマ=ダークドレアム ダークドレアム なし オルゴ・デミーラ(変身) なし ドーク ジェノダーク*ドーク=ドルマゲス トップページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2768.html
前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ 拝啓、私の王子様 すごいです。私、王子様の顔を見ただけですごくどきどきしてしまうんです。 この思いを王子様に伝えたい………でも私は臆病だからそれをいまだに伝えられずにいたんです。 だから私、この思いをチョコレートにこめました。私の愛の手作りをどうか召し上がってください。 しらとりく……死神ももえ 「で、それが愛の手作りチョコなわけ? 明らかにシエスタに作ってもらってたけど。」 「そーだよ。これが愛の手作りチョコレート 私料理下手だから。」 リボンで梱包されたチョコレートをさも自分のものかのように扱うももえであった。 「いいんですよ。私はモモエさんのお世話をすることが数少ない生きがいなのですから。」 「………! ねぇちょっと、あんたシエスタに何したのよ! 何したのよーーー!!!!」 にっこりと曇りない表情で微笑むシエスタをよそに、ルイズはももえの襟首をつかんでがくがくと上下させ続けた。 これが投稿されたらうどん食べて寝る「ゼロの使い魔死神フレイムデルフリンガーシルフィード二年生ももえサイズ」 馬に乗って帰ってきたルイズは、先に帰ってきてたももえ達から自分達が学院内でしばらくの謹慎を命じられたことを知った。 仕方ないとはいえルイズは思わず肩を落とした。しかしももえは相変わらずの様子だ。悪魔はこの学院内にまだ潜んでいるらしいが……… 「洗濯をしてきなさい。」 翌日、ももえの前に大量の下着やら何やらが渡された。御主人様と使い魔の主従関係を示すのが先決だとルイズは考えたのだ。 「これは?」 「見れば分かるでしょ。私の下着よ」 「………」 「こらぁ! いきなり臭いを嗅ごうとするなぁ!」 思わずルイズは下着をひったくった。 「………ったく、いい加減にしなさい! その洗濯が終わるまでこの部屋に戻ってきちゃだめだから。いいわね?」 「とはいっても………」 大量の洗濯物を持ってももえは頭を抱えた。ももえは洗濯などしたこと無いのだ。メイドのメイちゃんが全部してくれたから。 「メイド、メイド、メイド…………メイド!」 するとたまたまメイドがちょうど通りかかってきたのでその娘にお願いすることにした。 「そこのおっぱい星人!」 「誰がおっぱい星人ですか! しかもなんで初対面の人にいきなりそんな事を言われなきゃいけないんですか!」 メイドは胸をぷるんぷるんとゆらしながらももえに近づいた。 「どうでもいいけどとりあえず名前を聞いておくわ。そうしないと話進まないし」 「私の名前はシエスタで、このトリステイン魔法学院で給仕を中心にメイドの仕事をしています。で、あなたはミス・ヴァリエールの………」「生き別れになった双子」 「いやいやいやいや、確かあなたはミス・ヴァリエールの使い魔のモモエさんだったはずでは……」 「だから早くこの下着を洗ってね☆」 「だから って何ですか! この下着を私に洗えと!?」 「だってあんたさー、本編のみならず幾多数多のSSで召喚されてた奴と友情やらなんやら育んでたし」 ???ものしり館??? ※幾多数多のSS【いくたあまたのえすえす】 「幾多」とは数多くの、「数多」とは数の雅語的な表現。つまり数多くのという意味で今回は使われている。 ゼロ魔本編でのヒロインぶりは勿論のこと、「召喚されました」SSでもシエスタが召喚された者の味方になるケースが多い。 そして今回の場合幾多(ryでのルイズとシエスタとの友情も含まれていたため、イメージ図での大きさは5mぐらいの大きさと思われる。 「いきなり何わけのわかんないこと言ってるんですか! いくら私が人のいいメイドとはいえ、こんな勝手な人の頼みなんて知りません!」 シエスタは怒ってしまってこの場を去ろうとしている。 その時ももえには『幾多数多のSSで培ってきた友情』のイメージ図がシエスタの体からふわふわと離れていくのが見えた。 「あ、そうだ!!」 ももえはカマを取り出すとそれをばっさりと真っ二つに斬った。すると、 「モモエさん だーい好き!」 くるりと振り返ったシエスタはももえに抱きついたのであった。 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 「じゃあ、洗濯してくれる?」 「はい! 下着からミス・ヴァリエールとの鬱陶しい関係までなんでも洗い流して差し上げますよ!」 「あははははは」 「あははははは」 シエスタを抱きかかえたももえはしばらくその場を回り続けた。 翌朝、ルイズの部屋の元にシエスタがチョコを持って訪れた。それを受け取ったももえはたいそう喜んだのだけど、 「それで、このチョコレートは誰にあげるつもりなのかしら?」 ルイズは作られたチョコを見てそう尋ねた。形も整っていて真心が感じられる物だと思う。その相手に向けられてないのは確かだが 「憧れのギーシュさまに………」 「ぶっ! あっ、あんたみたいなのがあんなのに興味を持つなんて、い、意外ね。」 ルイズの声は上ずっていた。正直驚きを隠せなかったのだ。趣味を疑う的な意味で 「実は昨日、女の子を一人斬っちゃってさー」 「え」 「いやー、でもあれは仕方なかったよ。ねー、シエスタちゃんもそう思わない?」 「思います、思います。 本当あれは相手が圧倒的に悪かったですから。」 ルイズはこの二人が真実を語っているとは到底思えなかった。そして腕組みをして考え込んでいたら、ある答えがひらめいた。 「その娘って、もしかしてケティの事じゃないかしら?」 ケティはルイズたちの1年後輩で最近ギーシュと付き合っている女子のことである。 「あー確かそんな名前だったような」 「すごい洞察力ですね、ミス・ヴァリエール。」 シエスタはルイズのことをほめたのだが、明らかに棒読みだったのでルイズを苛立たせただけだった。 「それが臭くってさ~」 「あははー臭いですよねー」 二人が別次元の会話をしているのをよそにルイズはまた腕組みをして考え込んでいた。 「たしかにギーシュはもてるわよねぇ………」 ギーシュは女の子に甘ったるい言葉をかけたりするなど、女子には優しかったから人気はある。 しかしギーシュには前から恋仲であるモンモランシーという女子がいたはずだ。恐らくあいつの事だから二股でもかけてたんだろうかと思いをめぐらせてるとまたある答えがひらめいた。 「もし、あんたが後輩を斬ったって事は………下級生?」 「「あ」」 「わあ、超人的洞察力ですね、ミス・ヴァリエール」 『ももえのカマで斬られたものの存在はももえが肩代わり 後輩のケティが斬られたのでももえの学年が1年下がります』 ???ものしり館??? ※肩代わり【かたがわり】 本来他人が背負わなければならないものを自分が代わりに背負うこと。 このSSでの「肩代わり」の解釈は能力的なものから肩書き的なもの、物理的なもの等、時と場合と都合に応じて変化する。 つまり前々回は上級生の「称号」だけ肩代わりされたにもかかわらず今回性格的なものも肩代わりされているというのは作者のご都合主義に他ならない。 しかしクロス先の「ももえサイズ」はそのような枝葉末節など吹き飛ばしてしまうような漫画なのでそれに倣ったまでである。ご容赦いただきたい。 とうとうその時がやってきた。ももえはいてもたってもいられなくなって空を飛んでギーシュの元へと向かった。 「きゅいきゅい」 『シルフィードの能力』 そして上にはシエスタとルイズが乗っていた。 ルイズも結局この騒動に巻き込まれたからには必ず元を取ってやろうと思うようになったのでももえについてきたのだ。 「わぁ、私達って今、空をとんでいるんですね。」 「言いたいことはそれだけなの!?」 シルフィードの能力を無駄遣いしつつも素早くギーシュを発見し急降下した。 「いやああああああぁぁぁあぁぁ!!!!」 「あはははははは。あっははははははははは」 「むしろそれは中原よね………」 ギーシュは友人達に恋人とはなんであるかを偉そうに解釈していた。 「…………であるからして僕は薔薇一族を作るのが夢なんだよ。」 ???ものしり館??? ※薔薇一族 【ばらいちぞく】 ローザネイから派生する競走馬一族である。ローズやローザなど薔薇に関する名前が付けられることからきている。 GⅡ、GⅢは勝てるのにGⅠになるといまいち勝てなくなることで有名。 そんな成績のためか、この牝系にはファンが多い事で知られている。 友人達が上空の異変に気づき逃げようとするものの時すでに遅し。ももえ達は思いっきり突っ込んだ。 「うわあああああああ!!!!!」 「きゃあああああああ!!!!!」 そしてそんないざこざの間にギーシュの胸ポケットから香水の瓶が飛び出した。 「落ちる!」 ももえはおもわず手にしたカマでそれをキャッチしようとしたが、 ざしゅっ 小さな瓶はきれいにまっぷたつに割れた。 「つまり、これは………」 いち早く立ち上がったルイズが横になったまま動かないももえを見てまたしてもあることに気づく。 「ギーシュさまぁ」 「ごほっ………ごほっ、なっなんだい君は。」 「私、ギーシュさまの落とした香水ですよー。だから拾ってくださーい」←使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生 「なっ、何を言っておるのだ。僕はこんな大きな香水は落としてないぞ。じゃ、じゃあ僕は用事があるからこれで」 そんな事を言うとギーシュは逃げるように去ってしまった。 「じゃ俺も用事があるし。」 「あっ、俺も。」 「俺も俺も」 ギーシュの友人達もそれに続いた。後に残されたのは寝転がったままのももえとそれをじっと見つめるルイズとシエスタだけだった。 ももえは懐から取り出したプラカードとマジックで「拾ってください」と書いて自分の首に巻きつけたのだが一向に効果は見られなかった。 そしてルイズがあきらめかけたその瞬間! 「あら、こんなところに私の香水が落ちてるわ」 たまたま通りかかったのはギーシュの香水を作った女子、モンモランシーであった。 「でも、こんなに大きい香水ははじめてみたわ。どうやって持って帰ろうかしら。」 モンモランシーはももえの前でうんうんと唸り始めた。見かねたシエスタが声をかける。 「あの、これって実は 「私が手伝うわ。」 「あら、いいの? ミス・ヴァリエールが人の手伝いを進んでしてくれるなんて珍しいわね。」 「私の気が変わらないうちにとっとと済ませるわよ。」 モンモランシーの憎まれ口にも反応する暇など無い、ルイズは渡りに船とばかりに実行に移すことにした。 とりあえずモンモランシーは足を持ってルイズは首を持った。試しに持ち上げてみると意外と軽かった。これならいけそうだ。 「いっち、に、さん、し」 「えっほ、えっほ」 「いっち、に、さん、し」 「えっほ、えっほ」 遠くに連れて行かれるももえを見てシエスタはとりあえず大声で聞いてみることにした。 「その香水今度使わせてもらってもいいですかーー?」 「ええ、いいわよーー!」 すぐさまルイズの返事が返ってきたのであった。 「ただいまー!」翌朝、何事も無かったかのようにももえがルイズの部屋に戻ってきた。 「モンモランシーとの生活はどうしたのよ」 「いや、私より彼女のほうが香水"向け"だったから。」 「?」 「ところでさー、知ってる? エッチな気分になる香水って女の子の脇の臭いとおっさんの脇の臭いを混合させて作ってるんだよ。」 「知らないわよ、そんなこと。」 するとももえが急にルイズの脇元に鼻を近づけた。 「なっ、なな何するのよ!」 「いやー………やっぱりあんたのほうが香水向けね。マニアックな臭いがする。」 「マニアックな臭いってどんなのよ! って私の脇を指差すなぁ!! わ、私の脇はそんなに臭ってないわよ。臭ってないんだからね!」 ※おわり これまでのご愛読、ご支援ありがとうございました。 ※次回からはじまる「ゼロの使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」に乞うご期待!!! 前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/281.html
[名前]ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール [出典]ゼロの使い魔 [声優]釘宮理恵(参加者内ではシャナが同じ声優) [性別]女 [年齢]16 [一人称]わたし [二人称]呼び捨て、あんた トリステイン魔法学院の女子寮に住む2年生。ヴァリエール公爵家の三女である。 両親、2人の姉ともに優れた魔法使いでありながら、物語序盤ではルイズ自身はまったく魔法が使えないという特徴を持っていた。 物語が進み、彼女自身が持つ魔法の系統が明らかになると使えるようになる。 最初は自分が召喚した平賀才人を平民だからと犬扱いしていたが、何度も助けられたりしているうちに1人前の人間扱いしていくと共に彼に惹かれていく。 [能力] 魔法。ただし序盤はどんな魔法を使っても必ず失敗してしまう。失敗とは、魔法が爆発すること。 [性格] 良くいえば誇り高く、悪くいえば負けず嫌いの意地っ張り。 原作序盤では魔法が使えないことをコンプレックスとしており、その反動からか勉学に励む努力家である。 典型的なツンデレであり、ツンデレの代表格でもある。 以下、多ジャンルバトルロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの本ロワにおける動向 登場話 008 登場話数 1 スタンス 対主催 初期支給品 秘密バッグ@ヴィオラートのアトリエ、破壊の杖@ゼロの使い魔、エリキシル剤×2@ヴィオラートのアトリエ キャラとの関係 キャラ名 状態 呼び方 二人称 関係・認識 関係話 平賀才人 仲間 サイト アンタ 使い魔 未遭遇 タバサ 中立or仲間 タバサ 級友 未遭遇 後藤 敵対 殺害される 008 踏破地域 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 A B C D E F G H I J F-10地図にない民家の前
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1407.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 一〇二 キュルケとタバサに、魔法で土大蛇を牽制するよう頼み、君自身はフーケを絞めあげる月大蛇に近づく。 君は大蛇に向かって、その女を放せと言おうとするが、ルイズに先を越される。 「ミス・ロングビルから離れなさい、醜い化け物!」と言うと、 君を追い越して前に進み出る。 無茶をするなと君が後ろから肩をつかむと、ルイズは振り返り、きっと睨む。 「わたしは貴族よ。目の前で人が殺されそうなときに、何もしないで見ているなんて、貴族の名折れよ! それに、ここであいつを退治すれば、わたしはゼロのルイズなんかじゃなくなるわ!」 ルイズはそう言うが、彼女の肩に置いた君の手には震えが伝わってくる。 大魔法使いの最強の部下である七大蛇の一匹、月大蛇のおぞましい姿を前にしては無理もない。 非力な少女はもちろん、熟練の戦士でさえ、およそかなう相手ではないのだ――その弱点を知らぬ限りは。 大蛇がシューッと音を立てて嘲笑う。 「震えておるぞ、小娘! そんなに殺されたくば、いっそ順番を繰り上げてくれようぞ!」 そしてフーケに対する絞めつけを緩めたと思うと、輝く翼を広げ、地面すれすれの高さを君たちめがけて突進してくる! 前に立つルイズが邪魔で、君の行動はわずかに遅れてしまい、長い尾による強烈な一撃を浴びせられる。 運だめしをせよ。 吉と出たら二〇四へ。 凶と出たら九二へ。 二〇四 君は素早く地面に伏せ、なんとか唸りを上げる尾の一撃をかわす。 しかし、事態は好転するどころか、最悪の状況をむかえている。 絹を裂くような悲鳴を耳にした君が顔を上げると、今度はルイズが月大蛇の巨体に絡みつかれ、 全身の自由を奪われているのだ! 怪物の弱点を知る君は、彼女を放さぬと以前と同じやりかたで殺してやるぞ、と月大蛇を脅すが、 「やってみるがいい、この小娘も死ぬぞ。アナランドの腰抜けは口先ばかりよ!」と嘲られる。 大蛇はしゅうしゅうと息を漏らしながら、じわじわとルイズを絞めつける力を強めていく。 気が遠くなるような苦痛を味わっているはずだが、ルイズはあくまで杖を手放さない。 魔法使いの証たる杖を握りつづけているのは、貴族としての誇りがなせる業か、それとも諦めを知らぬ強さのあらわれか。 だが、いかに強い意志をもっていようが、ルイズになすすべはない。 たとえ彼女に魔法が使えたところで、あの状態で攻撃用の術を使えば、自分自身を傷つけてしまうことだろう。 君はどうする? 迅速に動かねばならない。 武器をもって月大蛇に攻撃をかける・六七へ 術を使う・五五へ ルイズに脱出のための指示を出す・二一へ 二一 死の恐怖と苦痛のなか、ルイズは杖を手放さない。 魔法が使えぬ彼女が杖を持っていたところで、なんの役にも立たぬのに。 そこで君はふと、ルイズが魔法を使おうとすると、なにが起きたのかを思い出す。 君はルイズに向かって、≪錬金≫でも≪開錠≫でもなんでもいいから術を使え、と怒鳴る。 「はぁ……!? ここは……自爆覚悟で≪ファイヤーボール≫とか……」 かすれた声で反論するルイズだが、すぐに君の意図に気づく。 「自爆……!そう……か!」 短く呪文を唱えると、手首だけをどうにか動かし、杖の先で月大蛇の輝く胴体を軽く叩く。 轟音が響きわたる。 唱えた呪文がなんであれ、結果は以前の≪錬金≫の授業のときと同じく、爆発だ。 しかし、爆発したものはまったく違う。 あのときに爆発したのは石ころだったが、いま爆発したものは、輝く鱗に覆われた怪物の胴体なのだ。 その長い胴体が半ばちぎれかけた状態の月大蛇は、腐汁のような緑色の血を周囲にまき散らしながらのたうち回る。 爆発を起こしたルイズ自身は、授業のときと同じように服のあちらこちらが破れ、黒い煤に汚れ(今回は緑色の返り血も浴びている)、 ひどい有様でしゃがみこんではいるが、 めだった外傷はないようだ。 君はルイズにそいつから離れろと叫ぶと、術を使うべく精神を集中し始める。 ルイズはなんとか立ち上がり、よろめきながらも大蛇から遠ざかる。 術を選んで、呪われた怪物ににとどめを刺せ。 MAG・四三五へ POP・三四一へ HOT・四一九へ GOB・三二一へ FOG・三九四へ 四一九 体力点四を失う。 術を使うと、君の手の中に大きな火の玉が現れる。 「そ、それは!」 「≪ファイヤーボール≫!?」 月大蛇とルイズが同時に驚きの声を上げる。 君は手を大きく振り、火の玉を怪物めがけて投げつける。 大蛇はかわそうとするが、爆発によって深手を負った巨体の動きは鈍い。 火の玉は目標に直撃し、またたくまにその全身に燃え広がる。 月大蛇は燃え盛る炎に包まれ、血も凍るような苦悶の悲鳴を上げるが、それもすぐに止み、やがて動かなくなる。五一へ。 五一 大蛇が死ぬと同時に闇が晴れる。 もともと薄暗い森の中だったとはいえ、時刻は夕陽が沈む前であり空は意外なほど明るい。 直後に、地鳴りと揺れも嘘のようにおさまっていく。 きょろきょろと周囲を見回すキュルケとタバサの姿を目にするが、土大蛇のあの巨体はいつの間にか消えてしまっている。 君がキュルケたちに闘いはどうなったのかを尋ねようとすると、 「おのれ、よくも我が同胞(はらから)を!」と毒づく声が地の底から響く。 仲間が倒されるのを目の当たりにした土大蛇は、地割れのひとつに潜り込み、撤退するつもりのようだ。 「今宵は退こう。しかしアナランドびとよ、心せよ! 我らは必ずやきさまに復讐を果たし、そして、この世界のすべてを大魔法使い様に捧げるのだ! そして小娘どもよ、もはやこの世界に希望はなきものと知れ……」 その言葉を最後に、あたりは静まり返る。一〇三へ。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2538.html
牛よりも大きな巨体が鎮座していた。砂ぼこりが晴れると共にその姿がゆっくりと明らかになる。 人を丸呑みできそうな大きな口、骨をも噛み砕く頑丈な牙、振るうだけで大樹をなぎ倒す尻尾。 喉の奥から猛獣特有の太い声を鳴らした。 首を持ち上げ周りを見まわすと周囲に居た生徒はみな威圧され、一歩下がった。 「や……」 その巨体の前に居た少女、ルイズ・ド・フランソワーズは満面の笑顔を浮かべた。 「やったぁあ!」 普段はきつい視線で周りを威圧するように過ごしている彼女。 それが年相応の歓喜の声を上げたことで一部の生徒が珍しいものを見たように視線を向けた。 そんな視線はまるで眼中に無いようで、ルイズは巨大なモンスターに近寄った。 俗に言うオオトカゲ、いやココまでの巨大ではドラゴンの一種かもしれない。 何せ軽く人を数人乗せても平気そうな大きさなのだから。 今年の使い魔召喚儀式で最高の使い魔と思われていたミス・タバサの使い魔、スカイドラゴンとほぼ同じ大きさをしている。 翼は無いが、頑丈そうな鱗はドットレベルの魔法なら軽く弾き返しそうである。 近寄ってきたルイズに興味を持ったのか、ドラゴンは首を屈めてルイズの顔を覗き込む。 ルイズは自分に忠誠を持ったと判断し、そのままコントラクトサーヴァントを行った。 コントラクトサーヴァントも無事に終了。 そうするとあっけに取られていた生徒たちが騒ぎ始めた。 「そんなバカな」 「ゼロのルイズが?」 「でかいだけじゃないか?」 口々に何とか目の前の事実を否定しようと試みるが、それはルイズの虚栄心を満足させるだけだった。 ルイズは今、有頂天に居た。 入学してから彼女に与えられた言葉は蔑みと憐れみだけだった。それが今向けられているのは嫉妬交じりの羨望の視線なのである。 特に彼女が嬉しかった点はライバルであるキュルケの使い魔よりも高レベルの使い魔を喚んだ事だ。 キュルケの横に居るサラマンダーを見てルイズはニヤニヤと表情を隠さなかった。 それに気づいたキュルケは解散の声を聞くとさっさと校舎へ戻っていった。 (勝った) とルイズは心の中で喜んだ。 いつも自分につっかかってくるキュルケが何も言わずに立ち去ったのである。 あまりの喜びにルイズは巨大なドラゴンの体を抱きしめた。 と言ってもあまりにサイズが違うためルイズが寄りかかっているようにしか見えないが。 「これから、よろしくね」 「グォウ……」 ルイズに話しかけられたドラゴンは否定とも肯定とも取れない鳴き声を発した。 次の日。 ルイズは人生において最高の目覚めだと感じていた。 窓の外が青空なのも世界が自分を祝福しているのだとさえ思えて、思わず歌いだしそうだ。 それと同時に自分の幸福、使い魔の姿を確認したくなったルイズは自らの使い魔に会いに行こうと考えた。 さすがにあんな巨体では自分の部屋に入れることができないので、そういった使い魔が眠る場所があるのである。 場所は馬屋の近く、基本的に食事の世話は使用人がする。馬の世話も使用人がするため機能的にそこに建っているのである。 意気揚々と服を脱ぐと制服に着替える。廊下に用意されている水で洗顔をすると宿舎の階段を降りた。 思わずスキップしそうな心を抑えて貴族らしく丁寧に歩く。だが明らかにその足取りは浮き足立っていて危なっかしい。 「おはよう、随分とご機嫌だねルイズ」 と一階のホール部で声をかけられる。そこに居たのはギーシュだった。 薔薇を口に咥え、その整った顔で笑顔を向けていた。 普段からゼロだの悪口を言う生徒の中にギーシュは居た、それが今日は他の女生徒と同じような対応をしている。 それをルイズはギーシュも自分を認めたのだと考えた。 「おはよう、ギーシュ。今日は最高の朝だわ」 「最高の使い魔を召喚したからかい?」 「そうよ、今なら魔法も成功させる自信があるわ!」 「そ、それは今後ゆっくりやっていけば良いんじゃないかな……」 ちょっとだけ顔を引きつらせるギーシュ、話題を変えるためさらに言葉を続ける。 「そんなことより、昨日のキミのアプローチ嬉しかったよ。どうだい、今度の虚無の日に遠乗りに行くと言うのは」 「……は?」 突然のギーシュの申し込みにルイズは言いづまる。 なんで急にデート、それよりも昨日って? と言う疑問が頭の中を巡る。 「ぇえっと……確か貴方は今モンモランシーと付き合っているのよね」 「妬いているのかい、でも薔薇は皆の為にあるのさ、ボクも一緒さ」 「……」 どうにも会話が通じない。そもそも何かとんでもない勘違いが起こっているような気がしてならない。 「どうか顔を上げてくれないかい、君の可憐な顔が一瞬でも見れないのは残念でならない」 だがギーシュはルイズに考える暇を与えず、歯の浮くような台詞を続けている。 その、ややこしい状況にさらにもう一人加わってきた。 「おはよう、ギーシュ、ルイズ」 赤い髪を振り、使い魔のサラマンダーを連れて現れたのはキュルケであった。 「おはよ……」 「おはよう、今日も赤い髪が美しいね」 つい数秒前までルイズを口説いていたのに、他の女が現れたとたんそちらまで褒めるギーシュの節操のなさにルイズは不審な目を向けた。 モンモランシーの苦労がなんとなく理解できたようだ。 「あら、昨日の夜にあんなに言ったのに、まだ言い足りないの?」 「君の美貌を称えるなんて何万の言葉があっても足りな……ぇ、昨日の夜?」 それまで、まるで口を止めなかったギーシュが口を開けたまま固まった。 「あんなに情熱的に口説かれたのは久しぶりだったわ。それでいて手を出さないなんて意外だったけど」 「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ……昨日ボクは何を言ったか教えてくれないかい」 目を白黒させ、ギーシュはキュルケに問いかける。 それに対してキュルケの口から出るのは恥ずかしい言葉の数々。 後半は捨てられた男が女に復縁を迫っているようにしか聞こえない内容になっていた。 「ギーシュ、あんた程ほどにしておかないとモンモランシーあたりに刺されるわよ」 とルイズが呆れたように言った。 それに対してギーシュは大慌てで否定する。 「待ってくれ、昨日は授業が終わった後はずっとベルダンディー、ボクの使い魔と一緒に居た。その後部屋に居たらルイズ、君が尋ねてきて……」 「待ちなさいよ、なに大嘘でっちあげてんのよ。私は昨日、誰の部屋にも行ってないわよ!」 「そんな、昨日ボクの部屋にやってきて『立派な使い魔を召喚して自信が付いたから告白する』って言ったじゃないか」 「誰がアンタみたいな浮気男に告白するのよ!」 「……どうなってんのコレ」 とキュルケが呟いた。 それを聞きたいのはルイズもギーシュも同じであったが。 「あ、おはようタバサ」 そこに現れたタバサに気づきキュルケが声をかける。 しかしタバサの様子がおかしい、いつも無表情である彼女が険しい顔をして歩いてきた。 「おはよう」 「どうしたの、何か暗いわよ」 と歯に絹をかけず話しかける。 だがタバサは気にもした様子も無く話を続けた。いつもの事なのだろう。 「キュルケ……貴女の気持ちは嬉しいけど、私は女性とは付き合えない」 「は?」 キュルケは目の前の友人が何を言っているのか分からなかった。 だが彼女が冗談を言うような性質でないのは知っている。 「タバサ、何のこと?」 「昨日の夜、私の部屋で『友達以上になりたい』って貴女が……」 さすがの事にいつもの余裕がなくなるキュルケ。 そこにマルコリヌが現れる 「タバサ、昨日は逃げてしまってゴメン。僕は、僕は君のことが好きだぁああああ!」 と一直線にタバサに飛びかかり、あっさり避けられて床を転がった。 さらにモンモランシーが現れてマルコリヌに近寄る。 「ごめんなさい、私には好きな人が居るから貴方とは付き合えないの」 「うぉおお、何だかよく分からないけど振られたぁああ!」 マルコリヌは号泣した。 どんどん現れる数珠繋ぎのような関係に、最初からその場にいたルイズは気づき始めていた。 これは誰かが誰かに告白し、告白された人が誰かに告白すると言う事を繰り返しているのだ。 しかし、そんな事をする意味も分からないし。そもそも告白した記憶が誰も無い。 だとすれば、体を奪うような魔法具が校内をうろついているのか。もしくは―― 「なんの騒ぎじゃ、これは」 「学院長」 階段の上から今度は学院長が降りてきた。 「ぉお、ミス・フランソワーズ。良いところで会った、これを見てくれぬか?」 といつも咥えているパイプを差し出してきた。 首をかしげてルイズがそれを凝視すると。 ボン、と言う音と共にパイプがパーティーで使うクラッカーのように爆発した。 びっくり箱のようにパイプの先からバネが出て、その先端にピエロの顔がくっついている。 それに驚いたルイズは思わず後退し、足がもつれて尻餅をついた。 その光景が余程面白かったのか、学院長が大笑いをしていた。 その顔が歪み、白髪が徐々に桃色に、ゆったりとしたローブは短く、肌がどんどん若返っていく。 目の前で学院長は完全にルイズに変身した。 その光景に周囲に居た皆があっけに取られる。 尻餅をついているルイズと、大笑いしているルイズと二人のルイズが居るのである。 「だ、誰よあんた!」 ルイズが叫ぶ、笑いを堪えながらそいつは答えた。 「あ、あはは、わ、私は……ルイズよ」 「ふざけないで、ルイズは私よ! 貴方ね、昨日の夜に姿を変えて告白しまくった犯人は!」 危険な魔法具があるか、もうひとつは誰かが変身してイタズラをしてるとしか考えられなかった。 「あはは、は……さすがご主人様、当たりぃ!」 そう言うと同時にその姿は盛り上がり、口は裂け、尻尾が生えた。 肌は浅黒い土色に、鱗へと変わる。 そうして偽ルイズは巨大なドラゴンへと変わった。 「い、韻龍?!」 「いんりゅう? 違う違う、ボクは『シャドウゼロ』サ」 そう言うと今度は勢いよく小さくなり、人間サイズをさらに通り越して小さな人形の大きさになった。 真っ黒なヌイグルミのようになった。顔らしき部分に緑色の部位がある。 全体的に半透明でゼリー状のようだ。 「ごシュジン様はボクがランドドラゴンに変身してるトキに召喚しタンだよ」 その言葉にルイズが考えた事は『ドラゴンよりもレアな使い魔ではないか』と言う事だった。 つまり喜べば良いのか、それともイタズラを怒れば良いのか一瞬迷ったのである。 「きゅるきゅる、それじゃあちょっと散歩してくるのね」 迷ってる間にシャドウゼロはタバサのスカイドラゴンに変身するとマルコリヌをふっ飛ばし、入り口の一部を破壊して、空へと飛び去った。 その怒涛の展開に誰も付いていけず、唯一冷静だったタバサが言った。 「良いの? 逃げたけど」 「あ、あの馬鹿ドラゴンっっ!!」 慌てて飛び出し走っていくルイズ、どう考えても追いつけるはずが無いのだが。その場も誰もがソレに対して忠告する気が無かった。 全員の気持ちはひとつだった (疲れた……) その後、ルイズとシャドウゼロの追いかけっこは数年に続くことになった。 彼らの通った後は人間関係がぎくしゃくしたり、逆に長年のわだかまりが解けたり。 モンスターが街道を大行進したり、村々を荒らすモンスターの死骸が大量に転がったり。 さらにはアルビオンで起こった内乱、両者の内情を引っ掻き回して疲弊させたりした。 後の歴史には歴史上最悪の愉快犯テロリストとして語り継がれることになる。 ――完――
https://w.atwiki.jp/dqmdatabase/pages/29.html
りゅうおう └りゅうおう(変身) ハーゴン シドー バラモス ゾーマ エスターク デスピサロ ミルドラース └ミルドラース(変身) ムドー デスタムーア └デスタムーア(変身) └デスタムーア(最終) ダークドレアム オルゴ・デミーラ 神さま ドルマゲス └ドルマゲス(変身) 呪われしゼシカ レティス マルチェロ 暗黒の使い 主人公像 ヤンガス像 ゼシカ像 ククール像 暗黒神ラプソーン └暗黒神ラプソーン(最終) 竜神王 竜神王(変身) 真紅の巨竜 深緑の巨竜 白銀の巨竜 黄金の巨竜 黒鉄の巨竜 聖なる巨竜 永遠の巨竜 魔神ジャダーマ └いにしえの魔神 └破壊神フォロボス 暗黒皇帝ガナサダイ 暗黒皇帝ガナサダイ(変身) └名をうばわれし王 堕天使エルギオス └堕天使エルギオス(変身) └堕天使エルギオス(最終) フォロボシータ ドーク しん・りゅうおう ジェノシドー アスラゾーマ サイコピサロ マガルギ マガルギ(変身) ちのせいれい みずのせいれい ひのせいれい かぜのせいれい ひかりのせいれい やみのせいれい イイロ ピモ アルー ドリーン パーラル カカロン バルバルー クシャラミ ドメディ ギスヴァーグ てんかいじゅう マスタードラゴン ジェノダーク ラーミア じげんりゅう かくれんぼう ゾーマズ・デビル スペディオ ガルハート グラブゾン ディアノーグ キングスペーディオ クインガルハート グラブゾンジャック ディアノーグエース デモンスペーディオ JOKER じゃあくな箱 ヘルジャスティス ヘルジャスティス(変身) ジャスティス兄 まじんキノコ ビッグハンマー ギガントビートル オオバサミ やみのみつかい ラストキラーマシン グランバズズ インヘーラー(壺) インへーラー オルテカ ジャイアントホーン ヘルワーム カンダタ カンダタ子分 メガゴーレム デスニャーゴ めいおうのかげ スカルマスター 大きめんどうし 大れんごくちょう
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4017.html
前ページ次ページ銀の左手 破壊の右手 ――――どんなときでも、あなたは一人じゃないよ 春の使い魔召喚でルイズが召喚がしたのは岩に刺さった一本の剣と、一人の娘であった。 剣と契約など冗談ではない、そう思ったルイズは娘と契約しようとしその姿に息を呑む。 娘は美しかった、これがただ顔形が整っているだけならルイズはけしてコントラクト・サーヴァントを途中で踏みとどまったりはしなかっただろう。 実際、娘の服装や容貌自体はこれと言って珍しいものではない。 あえて言うなら長く伸ばして二つに束ねた青みがかった黒髪くらいのものだろう、だがそれ以外は至って普通。 着ている白と紫の服も、革の手袋と靴も、頭を飾る赤いカチューシャと揃いの硝子の髪飾りも。 その気になれば平民でも手に入れることが出来るだろう品だった。 だが娘は美しいのだ。 何処にでもいる普通の娘、なのに何故こんなに心を揺さぶられるのか……そう考えてはたとルイズは気づく。 雰囲気だ。 娘が纏う雰囲気が平凡なものだけで構成された娘の姿をまるで剣のように研ぎ澄ましている。 荘厳な儀式に望む聖女のような、戦場を駆ける戦士のような、そしてどこにでもいる普通の娘のような。 そんな相反する印象が、しかし互いに背信を行う事無く重なり合い、娘を包んでいた。 娘纏う雰囲気がこれまで出会ったことのないものであったからこそ、ルイズは思わず気後れしてしまったのだ。 「貴女は、一体……」 その言葉に、まるで信じられない天変地異が起こったかのように稚気を色濃く残す瞳できょろきょろと周囲の状況を伺っていた娘はルイズを認め。 「えっと、あの、此処、何処……?」 これまでの雰囲気をぶち壊すような、実に頼りない言葉を放った。 「使い魔の契約?」 「ええ、君には申し訳ないのですが使い魔が死ぬまで契約は解除できないのですが」 「ごめんなさい、貴女が貴族ともっと早く知っていたら……」 「いいわ、退屈してたし。それに……」 わたしはもう死んでいるもの。 続けようとしたその言葉は口からは出てこなかった。 娘は思う、死んだはずの自分が何故生身の肉体を持って呼び出されたのか? しかも―― 見つめた先には紫の光を放つ剣。 かつて自分が使ったこの剣も岩に刺さった状態で呼ばれるなんて…… 娘は咽喉奥までせりあがってきた一つの回答を飲み込むと、ルイズに付いて歩き出した。 せいぜいやりたかったこと、やりたくても出来なかった沢山の事をやろうと思った。 とりあえずさし当たってはまず自己紹介から。そう言って手を差し出した娘に向かって、ルイズもおずおずと言った感じで手を差し出す。 「アナスタシア・ルン・ヴァレリアです」 「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。これからよろしくお願いね」 至極自然に実の姉に対してするような穏やかな口調が漏れる、そのことに一番驚いたのは他ならぬルイズ自身だった。 もっとももこんな驚きなど序の口であったと、後にルイズはさんざ思い知ることになる。 騒がしい日々の幕開けであった。 「ギーシュくん、モンモンちゃんとはどれくらい進んでるのかなー?」 「は、はは。何を言っているのかな、ぼくとモンモランシーがそんな……」 「おうおう照れちゃって、愛い奴じゃのぉ。お姉さん可愛がってあげたくなっちゃう」 これまで眺めてるだけだった人の恋路に横槍を入れてみたり。 「やっぱりね、ルイズちゃんにはこの“ふりふりレース”が似合うと思うの!」 「甘いわね、ここはルイズのコケティッシュな魅力を最大限引き立たせる“小悪魔ビスチェ”よ!」 「着ぐるみ」 「え、俺の出番これだけ?」 ルイズを使ってウインドゥショッピングとしゃれ込んでみたり。 「そりゃあお姉さんだってHなことくらい考えるわよ!」 「そうよそうよ、なんであそこで露骨にモーションかけてるのに他の女に靡くのよギーシュの奴……」 「いいじゃない、別に恥ずかしいことじゃないわ」 「あんたたちこんな時間に人の部屋で何やってんのよ! ああもぅ洪水のモンモランシーや脳みそ十八禁なツェルプストーまで連れ込んで……」 友人と酒盛りに高じて長年の無聊を慰めてみたり。 兎に角、まるで一分一秒さえ惜しいとでも言うようにアナスタシアは色々なことに嘴を突っ込んだ。 ルイズに付き添っての魔法の授業から厨房に通って料理を習ったり、周囲の恋の悩みに頼まれてもいないのに全力で突っ込んでいったり。 そんな彼女を疎んじる者も多かったが、しかし彼女を慕う者はそれよりもずっと多かった。 特にコック長のマルトーやメイドのシエスタは貴族でありながら気取らないアナスタシアの姿に崇敬にも近い感覚を抱いているし、アナスタシアの口利きで壊れかけたモンモランシーとの仲を修復できたギーシュは今でも彼女に頭が上がらない。 その他にも親身になって恋の相談相手になってくれたことに感謝するケティ、ルイズに積極的に突っかかってくるキュルケとその友人である雪風の二つ名を持つ少女はアナスタシアに出来た大切な友人の一人であった。 かつてアナスタシアにもたくさんの友人が居た。 あまりにも短い青春を共に笑いあい、喧嘩し、そして共に泣いた友人達がいた。 彼らはもう居ない、焔の災厄で命を落とした者もいれば、天寿を全うした者もいる――が、事象地平の彼方で彷徨い続けるアナスタシアを一人残し、皆ファルガイアを去っていった。 唯一彼女の傍に居ることが出来たのは、人外として悠久を生きる者たちだけ。 欲望を司る守護獣と、夜の支配者たる少女だけである。 だからこうして普通の少女として、ただのアナスタシアとして過ごすことの出来る時間は彼女にとって何より楽しく、そしてかけがえのないものだった。 それこそ寸暇を惜しみ、寝る時間を削る程に。 ――だからいくら超人的な体力を誇るアナスタシアと言っても、限界を超えて気絶するように眠ってしまったとしてもおかしくはない。 「ふにゃ?」 実に可愛らしい声を上げながらアナスタシアは目覚めた、此処はどこだろう? そんな風に考えて周囲を見回す。 天高く聳える本の山と、年経た黴が醸す時代の香り、そして自分の背中に掛けられたブランケット。 図書館に用意してあるソファーの上だと理解する。 続いて何故此処にいるのかと暫し考えてアナスタシアは得心した、食堂でご飯を食べてルイズちゃんの部屋に戻る途中七日間の徹夜の無理が祟って倒れたのだろう、そしてそれを見つけた誰かが此処に運んで毛布を掛けてくれたのだ。 アナスタシアの寝ぼけ頭の推論を裏付けるように、ソファーの後ろ側に座り黙々と本を読み続ける少女が一人。 「タバサちゃん?」 「大丈夫?」 振り返りもせずそう聞いてくる少女に笑みを返すと、アナスタシアは硬くなった体をほぐす様にゆっくりと伸びをする。 「ええ、おかげさまで風邪を引かずに済んだかな」 ありがとう、ただ一言万感の思いを込めてそう告げるとアナスタシアはタバサの隣に腰を下ろした。 そのことに何か口を挟むでもなくタバサはただ本を読み続ける、まるで人形のような印象を周囲に与える少女だがアナスタシアは少女のなかにたくさんの感情が隠れていることに気づいていた。だから、アナスタシアは何も言わない。 しとしととしばらく雨の音だけが静かに図書館に満ち、二人の間には穏やかな空気が漂う。 ――が、騒ぎたい盛りのアナスタシアにはあまり長い時間じっとしていろなどと言うのは無理な注文であった。 「イー……ヴぅあ……?」 「イーヴァルディの勇者」 タバサが読んでいた本の表紙をたどたどしい知識で読み上げたアナスタシアに、タバサの冷静な訂正が入る。 「へぇ、どんな物語なの?」 「それは……」 その問いに思案するようにタバサは押し黙り、やがてかみ締めるようにしてその英雄譚を語りだした。 それは少女の憧れと夢そのもの、ただ一夜の食事のお礼と言うだけで命を賭けて強大な相手に挑むことが出来る存在の伝説。 光る左手に剣を、右手に槍を携えて、怯えながら弱き人の為にその力を振るう者。 その物語を聞いてアナスタシアは思わず苦笑した、そして見たこともないイーヴァルディと言う存在に共感を覚えた。彼が一体何を思って勇者となったかは知らない、ただ震えながら竜に向かって剣を向ける姿にかつての自分を思い出したのだろう。 「それじゃあ、お礼にわたしの知っている物語も……」 語るのは 剣の聖女 の物語、当事者としての真相の物語ではなく、誰もが憧れた一人の英雄の物語。 多くの者たちが己の理想から削りだした欺瞞から成る英雄譚。 だがアナスタシアには彼女に語るこの物語こそ相応しいと思えたのだ。 それが真実でないとしても、いくつのも悲しみとしがらみを生み出してきた英雄の話よりはずっと…… 「此処からは遥か遠い“ファルガイア”と言う世界を焔の朱に染めた災厄があった」 アナスタシアは知らない、その物語を聞いている相手がもう一人いるだなんてことを。 図書館の入り口でルイズはまるで引き込まれるようにアナスタシアの話を聞いていた。 ――地から伸びた焔は天を焦がし、星の未来さえ焼き尽くさんと渦を巻く あっちへふらふら、こっちへふらふら、寝る暇を惜しんで動き回るアナスタシアを今日こそ部屋へ連れ帰る為である。 ――存亡の危機に晒された人類が縋った最後の可能性。それが剣の聖女でした。 出来ればもっと一緒に居たいし、それに彼女はルイズの使い魔なのだから。 ――名も無き下級貴族の娘として生を受けた彼女は、ガーディアンブレード『アガートラーム』の呼び声に導かれて立ち上がります だから必死で探したと言うのに、当の本人はこんなところでタバサ相手に御伽噺を語っているのだ。ルイズの嫉妬交じりの怒りが燃え上がったとしてもなんら不思議は無い。 ――為すすべもなかった人々は、聖女の剣の一振りに希望を託し、未来を信じる。 だがいざ文句を言いに行こうとして、ルイズは金縛りにあったように動けなくなった。 ――そして聖女が剣を手にして七日目の夜、彼女はすべての焔の災厄と共に光の奔流のなかへ消えていったそうです。 輝かしい筈のその物語を語るアナスタシアの様子があまりにも悲しげだったから。 ――後に、地面に突き立った一振りの剣を残して ルイズには、ただ立ち竦むことしかできなくなったのだ。 「ねぇルイズちゃん、もしこの国が戦争に巻き込まれたら貴女はどうするの?」 噂程度に漏れ聞こえてくるアルビオンのレコンキスタ、トリステインを覆う暗雲は隠しようもない。 そのことにアナスタシアは凄く悲しい気持ちになっていた、何故わざわざ人と人とが争わねばならないのか? わざわざ互いに殺しあわなくても滅びの種などあちらこちらに転がっていると言うのに…… 「勿論、戦うわ。姫殿下に忠誠を誓い、いざと言う時にはお助けするのが貴族ですもの!」 「戦争に、人を殺す訓練をしていない人が行っても邪魔なだけよ。きっと……」 「それでも私は貴族だもの!」 万感の思いで叫んだルイズに、アナスタシアは一つ嘆息する。 その様はかつて見た 聖女 の末裔として剣を求めた一人の青年の姿を思い起こさせたからだ。 聖女 の血など何の意味さえないと言うのに…… 暗く沈んだアナスタシアの様子に思うところがあるのか、いつも通りきざったらしい仕草で隣に座っていたギーシュは言った。 「そうだね、ぼくも戦場へ馳せ参じることになるだろう。ぼくの父は元帥だし、それに――男と言うのは戦場で武勲を立てて英雄と呼ばれることを夢見るものだからね」 ふふん、と笑ったギーシュに帰ってきたきたのは底冷えするような声だった。 「知ってる?」 「え? な、なな何をだい?」 訳の分からない悪寒に背筋を振るわせたギーシュにアナスタシアは言った。 「『英雄』って言葉は、『生贄』の別の呼び方でしかないってことに」 そう告げるアナスタシアの言葉は、とてもとても悲しそうだった。 ――しかしその悲しみは長続きしなかった。 オォォォォォォン 窓の外から聞こえてきた遠吠えにみんな揃って顔を出す、そこには二つの月を背に高く高く吼え声を上げる勇ましき狼の姿があった。 「ルシエドッ!」 みなぎる喜色を隠さずにアナスタシアは友人の名を呼び、紫の狼は応えるようにもう一度吼えた。 そのまま今まで立っていた宝物庫の塔を垂直に駆け下りると、窓からルイズの部屋へと飛び込んだのである。 突然の闖入者にルイズとギーシュが目を白くさせるなか、アナスタシアの胸に飛び込んだルシエドはそのまま勢い余ってアナスタシアを押し倒すような格好になり…… 「こんの馬鹿犬! アナスタシアから離れなさい」 ――あとはもうお約束である。 暗い予感を孕みつつも、大過なく魔法学院での平穏な日常は過ぎていく。 だが日常がかけがえの無いものだと言うことにまだルイズは気づかなかった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1936.html
前ページ次ページゼロ・HiME 「この学院で教えているのは魔法だけじゃないわ。メイジはほぼ貴族で『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を受けているの。だから、ここも貴族の食卓に相応しいものでなければってことね」 寄宿舎から学院で一番高い中央の本塔にある食堂につくと、物珍しそうに食堂を見回す静留に向かってルイズは得意げに説明する。 「凝った内装やらテーブルの上にある豪華な料理からしてそんな感じやね……ほな、うちは外で待ってますわ」 「えっ、なんでよ?」 「テーブルの上の豪勢な食事は貴族さん達のためのものですやろ。平民でしかも使い魔のうちが同席するわけにはいかんと思いますよって」 静留の言葉にルイズはしまったという表情を浮かべる。昨日は召喚に成功したことで頭がいっぱいで静留の食事の手配を忘れていたのだ。まともに使い魔の食事も用意できないなんて主人としての沽券に関わる。 「どうしたらいいかしら……そうだ、ちょっとそこのあなた!」 ルイズは少し思考した後、配膳のために傍を通ったシエスタに声をかける。 「はい、なんでしょうか? あ、シズルさん」 「仕事中どすか、シエスタさん」 静留が気づいて駆け寄ってきたシエスタに声をかけると、ルイズが怪訝な表情でたずねる。 「ん? シズル、なんで名前知ってるの?」 「ルイズ様を起こす前、洗濯しにいった時に知りおうたんどす」 「ええ、そうなんです。それで何のご用でしょうか、ミス・ヴァリエール?」 「実はシズルの食事のことなんだけど。厨房の方に話して手配しておくのを忘れてしまって……悪いんだけどシズルに何か食べさせてあげて欲しいの」 シエスタに用件を尋ねられ、ルイズが言いずらそうに答える。 「ああ、それなら余り物で作った賄いでよろしければ」 「それでいいわ。お願いね、シエスタ」 「はい、お任せください。では、シズルさん、こちらへ」 「ルイズ様、食事終わったらすぐ戻ってきますさかいに」 ルイズに一言断ると、静留はシエスタの後について厨房に入っていった。 「ごちそうさんどす、シエスタさん」 「いえ、どういたしまして。食事の際は遠慮なくおいでくださいね、シズルさんの分をちゃんと用意しておきますので」 厨房で出されたシチューとパンを平らげた静留が礼を言うと、シエスタは照れたようにはにかむ。 「コック長のマルトーさんどしたか、このシチューや食堂の料理といい、ええ仕事してはりますな」 「おっ、うれしいこと言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん! 気に言ったぜ、飯以外にも何か困ったことがあったらいつでも来な」 静留の賛辞に恰幅のいい中年のコック長のマルトーが、上機嫌で笑って答える。 「そうどすか。そんの時はよろしゅう」 「おう、いいってことよ。平民は平民同士、助けあわねえとな!」 「そうどすな。ほな、うちはルイズ様のとこに戻りますわ」 静留はマルトーの言葉に答えて一礼すると、食事が終わったルイズと合流して教室へと向かう。 ルイズが静留を連れて教室に入ると、先に来ていた生徒達から一斉に無遠慮な視線が飛んできた。 あからさまな嘲笑や囃し立てる声が沸き起こるが、ルイズはムッとしたように顔をしかめただけで、そのまま無視して席についた。その横に静留が立って控える。 (しかし……ほんに使い魔いうんは化け物やら動物しかおらへんのやね) 周囲の使い魔を見回し、改めて自分が召喚されたのは普通ではないのだと静留が思っていると、教室の扉を開いて教師が入ってきた。 「みなさん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 中年のふくよかな女性教師――シュヴルーズが教室を見回して満足そうな表情でそう言うと、ルイズは気まずそうにうつむく。 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴェリエール」 シュヴルーズが静留を見てとぼけた声でいうと、教室中から笑い声がおきる。 「おい、ルイズ! 召喚できないからってその辺に歩いていた平民の女を連れてくるなよ」 「違うわよ、きちんと召喚したもの! 喚んだのがたまたま平民だっただけよ」 「嘘つくな、『サモン・サーヴァント』ができなかっただけだろう?」 からかった生徒とルイズとの間でたちまち言い争いになるが、シュヴルーズはからかった生徒の口を塞いで強引に場を収め、授業を再開させた。 「シズル、魔法の授業なんか聴いてて楽しいの?」 授業中、シュヴルーズの講義を興味深そうに聞いている静留を見て、ルイズが不思議そうに尋ねる。 「そやね、自分が知らん知識を見聞きするんは楽しいおすな。まあ、元のとこでも学生どしたから、懐かしいんのもあるかも知らんけど」 「そう……」 どこか遠い目をして答える静留にルイズは何も言えず黙り込む。 (そういえば恋敵に好きな人を託して死んだって言ってたっけ……その人のことでも思い出してるのかしら) そんなことをルイズが考えている間にも授業は進み、錬金で小石を金属にする実習が行われることになった。 「……では、ミス・ヴァリエール、あなたにやってもらいましょう」 「え、私ですか?」 「そうですここにある石ころを、金属に変えてごらんなさい」 突然、指名されたルイズがうろたえて視線を彷徨わせていると、キュルケがシュヴルーズに声をかける。 「先生、危険です。やめといたほうが……」 「錬金に何の危険が? それに失敗を恐れていては何も変わりません。さあ、ミス・ヴァリエール、やってごらんなさい」 「やります」 キュルケの忠告は聞き入れられず、実習をすることになったルイズは硬い表情で石の置かれた教壇の前に向かう。周囲の生徒が一斉に慌てて机の陰に隠れる。 「ミス・ヴァリエール、緊張せずに錬金したい金属を思い浮かべばよいのです」 「はい」 シュヴルーズに後押しされたルイズは呪文を唱え始めると、小石に眩しい光が収束していく。 「これは……あかん!」 小石の発光に危険を感じた静留が『殉逢』を実体化させ、その刃先をムチ状にしてルイズに放った瞬間、爆発が起こった。 爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し、逃げたり噛みついたりして教室は悲鳴が入り混じる阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 「だから言ったのよ、ルイズにやらせるなって! あれ、ル、ルイズは!?」 キュルケはそう言って教壇を指差すが、そこにルイズの姿はなかった。 「そんな、うそでしょ……」 「ここやよ、キュルケさん」 キュルケは最悪の状況を想像して呆然していたが、教室の後ろの方から聞こえてきた声に反応して振り向くと、そこにルイズをお姫様抱っこした静留の姿があった。 「この通り、ルイズ様は無事どす。安心してや」 「ちょっと失敗したみたいね」 無傷のまま静留の腕に抱かれた格好でルイズが憮然としてそう言うと、教室中の生徒から非難の声が巻き起こる。 「どこがちょっとだよ! ゼロのルイズ!」 「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!」 (なるほど、それでゼロいうんやね) 本人の表情と周囲の反応から、静留は何故ルイズがゼロと呼ばれているのかを理解したのだった。 前ページ次ページゼロ・HiME